イチかバチかのやけっぱちみたいなことをやるのを、勝負師という人があるが、これは間違いです。 そういうのは勝負師とはいわない、賭博師という。

運任せの無謀な行動と、覚悟を持って挑む勝負の違いを説く、真の強さを求めるための教え。

将棋界の伝説、升田幸三氏の言葉です。私たちは追い詰められた時、つい「もうどうにでもなれ」と投げやりな選択をしてしまいがちです。しかし、それは自分の人生を運に丸投げしている状態。この言葉が響くのは、私たちが心のどこかで「自分の力で未来を切り拓きたい」と願っているからでしょう。 「勝負師」とは、最善を尽くした上でリスクを背負う人のこと。一方で「賭博師」は、考えることを放棄して結果だけを欲しがる人を指します。投げやりな一歩ではなく、納得感のある一歩を踏み出すことの大切さを、この言葉はやさしく教えてくれます。

仕事やプライベートで大きな決断を迫られた時、ふと自分に問いかけてみてください。「今の私は、投げやりになっていないかな？」と。 もし「どうなってもいい」という気持ちが混ざっていたら、一度深呼吸をして、今の自分にできる小さな準備を探してみましょう。結果がどうなるか分からない不安は誰にでもありますが、少しでも「考えて選んだ」という事実が、後のあなたを支える自信になります。イチかバチかのスリルに逃げるのではなく、自分の意志で一歩を踏み出す勇気を、この言葉はそっと後押ししてくれます。