夢中で生きることを、「生きる目的」にする。

立派な目標を探すよりも、今この瞬間の楽しさに没頭すること自体を大切にする教え。

私たちはつい「人生の目的」を、何か大きな成し遂げるべき目標だと考えがちです。しかし、精神科医として多くの心に寄り添った斎藤茂太さんは、もっと身近で温かな視点を提案してくれました。 それは、目の前のことに心を奪われ、時間を忘れて楽しむ状態そのものが、生きる価値であるという考え方です。「何者かにならなければ」という焦りは、時に今この瞬間の輝きを曇らせてしまいます。特別な理由がなくても、ただ何かに夢中になれる時間を持つこと。その心の充実こそが、私たちを明日へと運んでくれる本当のエネルギーになるのです。

「自分のやりたいことが分からない」と立ち止まってしまった時に、この言葉を思い出してみてください。立派な夢が見つからなくても、今日のご飯を美味しく作ることや、好きな本を読みふけること、そんな小さな「夢中」を積み重ねるだけで十分なのです。 目的を遠い未来に置くのではなく、今の自分の心が動く方向へ一歩踏み出してみる。そうして「今」を慈しむことが、結果としてあなたらしい豊かな人生を形作っていくはずです。肩の力を抜いて、まずは目の前の小さな楽しみに没頭してみませんか。