埴谷雄高:単独者として生まれ、群棲者として生活すること。 その矛盾の幅が私達の生の最初の幅である。

死を恐れることは、自分が賢くもないのに賢いと思うことと同じである。

孤独とは、港を離れ、海を漂うような寂しさではない。 本当の自己を知り、この美しい地球上に存在している間に、 自分たちが何をしようとしているのか、 どこに向かおうとしているのを知るためのよい機会なのだ。

このところずっと、私は生き方を学んでいるつもりだったが、 最初からずっと、死に方を学んでいたのだ。

富は海の水に似ている。それを飲めば飲むほど、のどが乾いてくる。

死の恐怖は、解決されない生の矛盾の意識にすぎない。