五木寛之:自分を愛せる人間が他人をも愛せる｡

女性が最も激しく愛するのは往々にして最初の愛人であるが、 <br> 女性が最も上手に愛するのは常に最後の愛人である。

魅力あるもの、キレイな花に心を惹かれるのは、誰でもできる。 だけど、色あせたものを捨てないのは努力がいる。 色のあせるとき、本当の愛情が生まれる。

愛する者と一緒に暮らすには一つの秘訣がいる。すなわち、相手を変えようとしないことだ。

二十代の恋は幻想である。 三十代の恋は浮気である。 人は四十代に達して、 初めて真のプラトニックな恋愛を知る。

初恋とは少しばかりの愚かさとありあまる好奇心のことだ。

若き日の恋なんてな、 老いたる男が老妻に抱く愛に比べたらまるで軽薄じゃよ。

結婚は夫、または妻によって創り出されるものではなく、 逆に夫と妻とが結婚によって創られるのだ。

いかに見栄えしない草でも春とともに花になるように、 人は恋することによってそれ自身を花咲かせる。

少女の恋は詩なり。年増の恋は哲学なり。