亀井勝一郎は、愛が持つ根源的な二面性を鮮やかに描き出す。それは、人間が生きる上で不可欠な光でありながら、同時に避けがたい影を落とす宿命的な力。愛なくしては魂は渇き、しかし愛ゆえに心は深く傷つく。この巨大な矛盾こそが、人生の真実であり、人間存在の奥深さを物語る。愛は、私たちを最も高みへと誘い、同時に最も深い谷底へと突き落とす、抗いがたい運命そのものなのだ。
亀井勝一郎
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愛されているという驚きほど、神秘的な驚きはない。 それは人間の肩に置かれた神の指だ。
恋愛の誕生はあらゆる誕生と同じく「自然」の作品である。 愛の技術が介入するのはその後のことである。
恋愛は常に不意打ちの形をとる。
初恋は、男の一生を左右する。
本を読んでも、物語や歴史に聞くところからでも、 真実の恋は滑らかに運んだためしがない。
男にとっては今日一日だけの浮気心にすぎないものに、 女はその一生を賭ける。
誠の恋をするものは、みな一目で恋をする。
ねえやさしい恋人よ私の惨めな運命をさすっておくれ
恋をすることは苦しむことだ。 苦しみたくないなら、恋をしてはいけない。 でもそうすると、恋をしていないことでまた苦しむことになる。
恋は気がつかないうちにおとずれてくる。 われわれはただ、それが去っていくのをみるだけである。
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