日本の文芸界に、その鋭い批評眼と豊かな感性で確固たる足跡を刻んだ亀井勝一郎。彼は単なる文芸評論家にとどまらず、小説家、著作家としても多岐にわたる才能を発揮しました。時代を超えて人間の本質や芸術の深淵を見つめ続けたその言葉は、今なお私たちの心に響き、新たな思索へと誘います。混迷の時代にこそ光を放つ、彼の紡いだ珠玉の言葉の数々を、あなたもぜひ紐解いてみませんか。
結婚生活を末永く導いてゆくものは、普通の意味での恋愛でもなく、 また情痴の世界でもなく、それらを経た後に来る慈悲 ――人間のあるがままの姿への愛情であろう。
女性が弱いというのは嘘である。 世の中に何が強いと言って、無神経な事ほど強いことはない。
愛情がこもっていて無口な人こそ、人生の伴侶としてふさわしい。
恋とは巨大な矛盾であります。 それなくしては生きられず、しかもそれによって傷つく。
恋の味を痛烈に味わいたいならば、 それは片思いか失恋する以外にないだろう。