ニッコロ・マキャヴェッリ:たとえ人の生命を奪っても、財布に手をかけてはならぬ。 人は父親の殺されたのは忘れても、財産の失われたことは忘れないからだ。

マキャベリが冷徹に突きつけるのは、人間の本性に関する痛烈な真実です。人は肉親の死という深い悲しみさえも時と共に薄れるが、己の財産を奪われた恨みは決して忘れない。この言葉は、統治者が民衆の心を掌握し、秩序を保つための冷厳な教訓を説きます。生命よりも物質的な損失に執着する人間の心理を深く見抜き、権力者が取るべき「選択」と「行動」の指針を示唆しているのです。それは、理想論では語れない、現実の統治術の核心を突く洞察と言えるでしょう。