陰口をきくのはたのしいものだ。 人の噂が出ると、話ははずむものである。 みんな知らず知らずに鬼になる。 よほど、批評はしたいものらしい。

近頃の若い者云々という中年以上の発言は、 おおむね青春に対する嫉妬の裏返しの表現である。

女は異国の土地である。 どんな若い頃移住したとしても、男はついにその習慣、その政治、 その言葉を理解しないだろう。

つまらないことに熱情を感じてよく記憶していること、 これが女の一番の特徴である。 数年前の友達と交わした世間話の中に出てきたこまごましたくだらないことを その気になればいつでも正確に話せるのである。 しかもやりきれないことに、女はいつでもその気になるのである。

男は退屈から結婚し、女は好奇心から結婚する。そして双方とも失望する。

正しい結婚の基礎は相互の誤解にある。

一人の女しか愛さない男はしばしばもっとも幸福な生活を送るが 死ぬときはもっとも孤独な死にかたをする。

死の恐怖は、解決されない生の矛盾の意識にすぎない。

結婚するのは、二人とも他に身の振り方がないからである。

孤独が怖ければ結婚するな。