アンリ・ド・モンテルラン:女性はどこから見ても低劣であり、 女性固有の領域においても全くの無能力であるにもかかわらず、 いぜんとして女性がハバをきかしているのは、結局は男性が愚鈍だからである。

この一節は、モンテルランの深く根差した女性蔑視と、人間社会への冷徹な視線を露わにする。女性の存在を徹底的に貶めながらも、その影響力を男性の「愚鈍さ」に帰結させることで、男性社会への痛烈な皮肉をも含んでいる。これは単なる性差別を超え、彼の貴族的な厭世観やニヒリズムが凝縮された、ある種の「真実」を語ろうとする彼の「信念」の表明である。その言葉は鋭利な刃物のように、読者の心に突き刺さる。